FGI(グループインタビュー) は、調査対象者を数名集めて、モデレーターが調査するテーマに関して質問しながら、それを深掘りしていく形式のインタビューで、通常は、属性等の違うグループ(1グループ5~6名×最低2~3グループ)で実施します。コロナ禍以降はオンラインで実施するケースも増え、オンラインでの実施の場合は、1グループ3名×2~4グループで実施します。グループインタビューやグルインと呼ばれることもあります。
モデレーター1名に対して複数人を対象に実施するFGI(グループインタビュー)に対して、モデレーター1名と調査対象者1名の1対1で行うインタビューをデプスインタビューという調査方法もあります。
FGI(グループインタビュー)でわかること
こうした調査方法は、大きく分けてアンケートなどの“定量調査”とFGI(グループインタビュー)やデプスインタビューなどの“定性調査”の2つの方法があります。
“定量調査”は、調査結果を数値化できる調査のことで、どれくらいの割合が興味を持っているのか、どの年齢層に人気があるのかなど、主に全体の傾向を把握する手段として活用されます。
今回解説する“定性調査”は、人物像の把握、商品を購入した経緯や購買時の心理状態、商品の不満な点など、ユーザーの行動を読み解いて深層心理を把握する手段として活用します。
FGI(グループインタビュー)で把握できる内容例
ネットショップと店舗で展開する化粧品メーカーのケース。店舗へ来店するユーザーは商品を実際に見て購入したいユーザー、という仮説を立てていたが、実施にインタビューをすると、その理由以外にも、店員とおしゃべりしたいという方も半数以上存在した。
Q&Aサイトやナレッジコミュニティを利用するユーザー調査のケース。「何かを知りたい」と思ってQ&Aサイトやナレッジコミュニティ利用するユーザーがほとんどだと考えていたが、実際は、「何かを教えてあげたい」と考えて利用するユーザーも一定数いることが分かった。
まとめると、FGI(グループインタビュー)でわかることは以下のようになります。
- ターゲットユーザーのライフスタイルがわかります。
- 商品・サービスを利用している心理的な理由がわかります。
- 商品・サービスを購入した経緯やその際の心理状態がわかります。
- 自社商品・サービスを利用するメリットや不満足な点がわかります。
- 競合サービスを利用する理由がわかります。
その調査・分析結果により以下のようなアクションが可能になります。
- ユーザーの購入経路をベースに今後のWebプロモーションの戦略や施策を立案することができます。
- トライアル商品などの有効な活用方法を見出すことができます。
- Webサイトの不足コンテンツを把握・拡充することができます。
- Webサイト構成・デザインを改善することができます。
- 商品やサービス内容を見直す素材として活用することができます。
もともとFGI(グループインタビュー)は、お菓子メーカーでの新商品の試食や感想、家電製品の使いやすさやデザインの改善点の洗い出しなど、プロダクトマーケティングなどで行われていましたが、今では、Webマーケティングで活用するケースも増えています。
FGIの進め方
FIG(グループインタビュー)は、以下のように大きく分けて6つのステップで実施します。

対象グループの設定やサンプル募集方法の選定
まず、誰を対象にするのかを設定します。例えば、保険を販売している会社でターゲットがマタニティや小さなお子様を持つ母親の場合、①妊娠中のママ、②1年以内に出産したママ、③子供が入園・入学したママの3タイプのペルソナに対してグルーピング。
その後、その対象者をどうやって集めるのかを決めますが、対象者の募集については自社の顧客に対して募集するケースが考えられます。ここでは、過去に保険を契約した顧客に対してということになります。顧客ではない方々を募集するケースもあります。
リクルーティング
実際に対象者を選ぶ方法としては、上記の例でいくと、自社の一定数の顧客に対してアンケート調査を行い、契約した時期、年齢、住んでいるエリア、FGI(グループインタビュー)を実施する場合には参加の意思があるかなどを聞きます。FGI(グループインタビュー)の参加者には、実際に時間をつくってもらうので、謝礼をお支払いするケースが一般的です。金額は時間、場所、FGI(グループインタビュー)の内容などにもよりますが5,000円~10,000円程度が一般的ではないでしょうか。
その後、FGIへの参加が可能な方々に直接連絡をとって対象者を確定します。
前述のとおり、実際にリアルでのFGIの場合は6~7名、オンラインの場合は3名程度を選出しますが、対象人数が多いと1人ひとりインタビューする際に、時間を持て余してしまう方がでてしまうため、できるだけ人数以内におさめるようにしましょう。
この時に実施するアンケートでは、FGI(グループインタビュー)参加有無だけではなく、自社を知った理由から保険契約に至った経緯なども、あらかじめ設問に入れておくと、同時に定量調査も行うことができます。
仮説と当日のシナリオ作成
定量調査も定性調査でも非常に重要なことがあります。それは実施する前に仮説を立てることです。
仮説を立てて、その仮説が正しいかどうかを調査によって明らかにして、さらに分析によってユーザーニーズや潜在意識などを見出していくことで、有効なWebマーケティング戦略や施策を実施することが可能になります。
まず、ユーザーがどういう経路で自社を知って、どのようなタイミングで話を聞き、何がきっかけで保険を契約してくれたかを仮説立ててください。
その後、それを検証するための当日のシナリオを作成していきましょう。
最重要ポイント!
定量調査や定性調査をする際、仮説を立てずに、対象となる方にアイデアやダイレクトな回答を求めすぎるケースがあります。例えば、「あったらいいと思う商品はなんですか?」「この商品に足りない機能はなんですか?」などです。これらの設問自体は悪くないのですが、対象者がこの商品が欲しいと明確にイメージしているケースは稀です。ユーザーや顧客は自分が本当は何を欲しいのかわかっていないケースがほとんどなのです。
米国の自動車会社フォード・モーターの創設者ヘンリー・フォード氏の『もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう。』という有名な言葉があります。
対象者に正解を求めようとするのではなく、仮説を立ててそれが正解なのか不正解なのかを検証すること、対象者の不満の声から新しいアイデアを見出すことが重要なことを忘れないでください。
当日のFGI(グループインタビュー)
オンラインで実施する場合は、回線状況が悪くてインタビューの実施が困難な場合もあるので、数日前に必ずオンライン接続でインタビューできるかのテストを実施しましょう。
FGIの当日は、できるだけスムーズな進行を心掛けましょう。
注意すべき点
- 1人ひとりにインタビュー、全員でのディスカッションなど参加者を飽きさせない進め方を考えましょう。
- あまり話されない方、話し出すと止まらない方なども多いため、できるだけ平均的にインタビューや発言の機会を与えるように心がけましょう。
- 質問後の回答に対する感想などで会話を続けることで相手も話しやすくなります。
- FGIは深掘りをする調査です。回答に対しての深掘りを意識しましょう。
レポート作成
当日のFGIの結果と事前に行ったアンケート調査も合わせたレポート作成を実施します。
商品やサービスによって設問やレポート内容は変わりますが、保険契約の場合に関しての例を記載します。
レポート例
- ユーザーの価値観やライフスタイル
- お金や保険に関する情報収集方法
- 家計に関すること
- ライフプランに関すること
- 現在の保険契約内容
- 自社の認知経路
- 自社の担当者の印象や不満
- 保険契約に至った経緯
- 保険会社を探す際に比較対象した他社
- 保険会社選定の理由
- 保険契約の決め手
- Webサイトのアクセス状況と使いやすさ
- 契約までのカスタマージャーニー
- 上記のインタビューでわかったこと/気づいたこと など
レポートをまとめる際に気をつけることは、実際にインタビューした事実をまとめで記載するパートと、それによってわかったこと/気づいたことを記載することです。わかったこと/気づいたことはできるだけ多く記載しましょう。
わかったこと/気づいたことの例
- お金に関することでママ友への口コミ効果はあまり期待できない。
- 決裁者が旦那様という方が多いため、旦那様へのダイレクトアプローチも可能かもしれない。
- NISA、iDeCoに関しては多くの方が興味を持っている。
- SNSで情報収集しているケースは多い。
- 家計簿アプリを使っている方が少なくない。
- ダイレクトメールなどはあまり見ていない。 など
Webマーケティング戦略・施策立案
最後に、FGIを通してWebマーケティングに関して、仮説の検証と戦略の見直しや施策の立案を行います。FGIの最終目的となるため、非常に重要になります。
仮説の検証とWebマーケティング戦略・施策立案例
- ペルソナは正しかったか/他のターゲットも存在するか
- Webサイトへの流入経路とWebプロモーションの見直しの有無
- アプローチの方向性
- Webサイトのユーザビリティ改善の方向性
- 営業アプローチ方法の改善の有無と方向性
- 障害となるものと障害を取り除く方法
- 具体的な施策:集客(Webプロモーション)→接客(UI/UX)→追客(フォロー/サポート) など
この後は、実際に立案した施策を実施して、PDCAをまわしていきます。
実践でFGI(グループインタビュー)を活用した事例
スキンケアメーカーで実際に実施した例を解説します。
自社商品を購入したユーザーを「自社商品を2回までしか購入していないユーザー」と「4回以上購入しているユーザー」2つのグループに分けてFGIを実施しました。
2回までしか購入していないユーザーの特徴
美容に関する情報感度が非常に高く、詳しい人(SNS含む)から常に情報収集を行って、実際に美容クリニックなどに通うケースも多い。気になった商品はすぐに試す行動派で、SNSや友人などに情報発信も行っている。ただ、1つの商品を長く使用するより、常に新しい商品を見つけて使用するタイプ。
4回以上購入しているユーザーの特徴
美容に関する情報感度はそれほど高くなく、さまざまな商品を吟味して商品を選ぶというより、信頼できる情報源のもとに商品を購入して、その後、ある程度満足していればもっと良い商品をあえて探すことはしないタイプ。
わかったこと
ターゲットは、4回以上購入しているようなペルソナ像だとひと目でわかるが、掘り下げて聞いてみると、2回までしか購入していないユーザーのタイプの友人がまわりにいて、その友人から商品のことを聞き購入に至ったことが判明。
マーケティング戦略の方向性
4回以上購入しているユーザー層に商品を購入してもらうには、広告などではなく、2回までしか購入していないユーザー層にアプローチする必要があり、そのユーザーから4回以上購入しているユーザー層に商品をおすすめしてもらう必要があるため、2回までしか購入していないユーザー層へのアプローチが必要。
このように、深掘りしていくことで、単なるアンケートでは読み取れないカスタマージャーニーが存在するため、そのカスタマージャーニーをもとに戦略の方向性や改善案を策定することが可能になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はFGI(グループインタビュー)のやり方から実践に役立つ活用方法までを解説しました。FGIはユーザーの深層心理を把握して、Webマーケティング戦略や施策立案までを実現できる非常に重要な調査方法です。ぜひ、チャレンジしてみてください。
