「ディレクション」の意味と業務に使えるディレクション力

ディレクションとは

「ディレクション」とは、プロジェクトや制作物の進行を管理し、関連するスタッフを指揮する業務を指します。ディレクションは、企画立案、進捗管理、スタッフへの指示出し、クライアントとの交渉、トラブル対応などを含み、業務の中心的な役割を果たします。ディレクションが業務で行われる業界は、Web業界、広告業界、ゲーム業界、映像制作業界、アパレル業界など、幅広く、ディレクション業務を行う人は、一般的に「ディレクター」と呼ばれます。

Web業界であれば、Webサイトの制作をディレクションする“Webディレクター”、広告業界であれば、広告のクリエイティブをディレクションする“アートディレクター”や“クリエイティブディレクター”、ゲーム業界であればゲームを開発する“ゲームディレクター”、映像制作業界でれば映像を制作する“(映像制作)ディレクター”、アパレル業界であればアパレルデザイン・マーケティング・生産管理までを指揮・管理する“ブランドディレクター”などです。

ディレクションの具体的な内容は、業種、プロジェクト、制作物により異なりますが、プロジェクトを成功に導くための重要な役割を果たします。

 

ディレクションの本質的な意味

前述した各業界のディレクターは、一般的にディレクターという特殊な職種をイメージする方も多いのではないでしょうか。確かにディレクターと呼ばれる職種は、クリエイティブ要素の強い専門職というイメージが強いのですが、実は、ディレクション業務ということに関しては、それほど専門性の高いものではありません。

プロジェクトなどの業務に関する進行を管理して、アウトソース先を含む関連するスタッフを指揮・管理して業務を遂行する行為はすべてディレクション業務と言ってもいいでしょう。

例えば、あなたが営業部署にいて営業に関連する業務をしていたとしても、その営業に必要なチラシを作成する場合は、社内の制作担当者やアウトソース先のデザイン会社などに、チラシの制作を依頼します。その時には、どのようなチラシにするのかを考えて、それを制作担当者やアウトソース先に依頼します。その際、当然スケジュール管理や場合によっては予算管理なども行うでしょう。そうした一連の業務は、営業部署であろうと、ディレクション業務なのです。

また、あなたが広報部でInstagramの運用を担当していたとします。Instagramに投稿する各部署の紹介を部署ごとに依頼する場合、各部署に対して紹介コメントを依頼、それを回収後にInstagramのコンテンツとして制作して投稿します。このケースでは、あなたがInstagramで会社の部署紹介をする旨を説明して、どのようなコメントをしてもらいたいか、いつまでにそのコメントがほしいかを各部署に依頼すると思いますが、それ自体がディレクション業務となります。

つまり、ディレクションの本質的な意味は、業務の目的を果たすために、自分自身が主導して他者に対してタスクを依頼して業務を推進することであり、それは、営業部、広報部、宣伝部、管理部、総務部など、どの部署でも発生する可能性のある業務なのです。

 

ディレクションの具体的な業務

ディレクションの具体的な業務は、プロジェクトや制作物の進行を管理し、関連するスタッフを指揮します。企画立案、進捗管理、スタッフへの指示出し、アウトソースへの依頼、トラブル対応などが含まれます

具体的な例を記載します。

 

デザイン会社にチラシ制作を依頼する場合

ディレクターは、チラシの目的やターゲット、デザインの方向性を明確にし、それをデザイン会社に伝えます。デザイン会社からのラフデザインをチェックしてそのチラシが目的を達成できるかを確認し、必要に応じて修正指示を出して、チラシを完成させます。その際の一連の制作進行を管理します。

 

ライターに記事を依頼する場合のディレクション業務

ディレクターは、記事のテーマ、視点、ターゲット、文字数などを設定し、記事構成をライターに伝えます。その後、ライターが書いた記事をチェックし、必要に応じて修正を依頼して記事を完成させます。その際の一連の進行を管理します。

 

採用に関するWebサイトをWeb制作会社に依頼する場合のディレクション業務

ディレクターは、Webサイトの目的、ターゲット、デザインの方向性、必要な機能などを明確にし、それをWeb制作会社に伝えます。その後、Web制作会社が制作したWebサイトをチェックして必要があれば修正を指示します。その際の一連の制作進行を管理します。

 

このようにプロジェクト全体の指揮・進行管理が具体的な業務となります。

 

ディレクションする能力は誰にでも必要

このように、一人で完結する仕事以外で、協力者と一緒に行う業務に関しては、すべてディレクション業務と言えます。

  • 営業部であれば「チラシの作成」「展示会への出展「他社との協業」など。
  • マーケティング部であれば「Webサイト制作」「その他制作物」など。
  • 広報・宣伝部であれば「広告代理店への広告出稿」「SNS運用代行会社への依頼」など。
  • 人事部であれば「採用に関するWebサイト制作」「求人媒体への出稿」など。
  • 総務部であれば、「事務所移転の際の外注業者への発注」など。

おそらく、ほとんどの部署に属している方が、ディレクション能力を必要としているのではないでしょうか。

 

ディレクション業務の落とし穴

自分がディレクション業務行っている自覚のある人から、実際にディレクション業務を行っているにもかかわらず、ディレクション業務を行っている自覚のない人もいます。

ここで紹介するのは、ディレクション業務を自覚している人、自覚していない人を問わず、ディレクション業務に失敗するケースです。

 

ディレクションの失敗例

ディレクション業務で失敗する最も多いケースを紹介します。

①広告に出稿するバナーを制作担当に依頼して失敗したケース

広告を出稿する担当者が、社内のデザイナーにバナー制作を依頼して失敗した例です。

  • 対象となるWebサイト:
    賃貸アパート検索サイト
  • 広告担当者の依頼内容:
    広告用のバナー制作を依頼。渡した素材は、対象サイトのURL、対象サイトのロゴ、Webサイトのキャッチコピー。デザインに関してはおまかせ。

数日後にデザイナーから出てきたバナーは、とてもイメージにあうものでなく、広告担当者はデザイナーに出し直しを依頼。しかし、2度目、3度目でも思うようなバナーデザインが出てこなく、結局、ダメなデザイナーだとレッテルを貼って、別のデザイナーに依頼。

②Webサイトに掲載する記事をライターに依頼して失敗したケース

Web担当者が、社外のライターに、記事のライティングを依頼して失敗した例です。

  • 対象となるWebサイト:
    戸建てリフォーム会社のWebサイト
  • Web担当者の依頼内容:
    「戸建てリフォームをする場合するタイミングや注意点」に関する記事を3,000文字程度で依頼。詳細の構成などはおまかせ。

実は、このWeb担当者は、新築戸建てを考えている方々に対して、リフォームを促すイメージを想定しましたが、数日後にライターから提出された記事は、戸建てをリフォームするタイミングとリフォーム時の注意点しか書かれていなく、それを指摘して、数度の修正後に納品されました。この結果、Web担当者のライターに対する評価は低くなり、その後の発注を控えるようになりました。

 

いずれの場合も、担当者は、依頼したデザイナーやライターに対して良い評価を持っておらず、次回以降、新たなデザイナーやライターを探すようになったようです。

 

これは、デザイナーやライターの能力が低かったのでしょうか。

 

いいえ違います。

 

この場合は、明らかに、依頼者のディレクションミスだと言えます。

 

私の経験上、こうした依頼者は、納品物のクオリティが低かった場合には、制作者のクオリティが低いせいにしがちですが、一定レベルの能力を持つデザイナーやライターなどの制作者であれば、その制作物のクオリティは、多くの割合でディレクション能力にかかっていると考えています。

つまり、ディレクションをする人が、きちんとしたディレクションをすれば納品物のクオリティは良くなり、ディレクションミスをすれば当然納品物のクオリティは低くなるのです。

 

ディレクションが失敗した理由

①のケースでは、依頼者がデザイナーに対して、対象サイトのURL、対象サイトのロゴ、Webサイトのキャッチコピーのみを渡して、「あとはおまかせ」という依頼です。この場合、デザイナーが出してきたデザインは、提出する際に初めて見るデザインとなります。このようなディレクションを行うと、自分がぼんやりとイメージしていたデザインと違うと、必ず違和感が生まれ、依頼者はデザインの出し直しを依頼することになるでしょう。

依頼者は、具体的なイメージがまとまっていないため、「何となくイメージが違う…」「もう少し目立たせたい…」と、明確な出し直しの指示ができない状況が続くことが多く、デザインの出し直しが繰り返され、最終的にデザイナーが良くないという結論に陥ることがよくあります。

このケースのディレクションミスは、依頼者が作りたいバナーをイメージできていないこと、そのため、バナーデザインを指示できていなかったことにあります。さらに、修正時にもデザインイメージが固まっていないため、デザイナーに対して適切な修正指示ができない状況にありました。

 

②のケースでは、依頼者がライターに対して、「戸建てリフォームをする場合するタイミングや注意点」というテーマと文字数のみを指示して、「あとはおまかせ」という依頼です。これも①のバナー制作の依頼と同様に、依頼者が記事のイメージが全くできていないため、多くの場合、ライターから出てきた原稿に対して、自分のぼんやり持っていた記事のイメージと違うと、当然、出し直しになり、最悪の場合、何度かやり取りをして、最終的には初稿と全然違った原稿になったりすることもあります。

このケースのディレクションミスも、依頼者が、原稿のイメージを持っていないことが最大の要因で、そのため、ライターに具体的な指示ができなかったことがミスにつながったのです。

 

業務に使えるディレクション力とは

前述のディレクションミスを見てもわかる通り、ディレクションする人、つまり、ディレクターが作りたいものをイメージできていないとミスは必ず起こります。

自分でイメージできていないものを他の人に依頼して良いものができるはずはありません。自分がこうしたいというコンセプトや内容があって、それをそれぞれの専門家に任せることで、最終的に良いものが生まれてきます。

依頼するのが専門家でなくても、自分が進めたいプロジェクトの背景、イメージ、考えているゴールをきちんと伝えることで、提出されるものの精度は格段にアップします。

ディレクションミスを踏まえて、どういったディレクションが必要かいくつかのケースに分けて紹介します。

 

バナー制作の場合

  • 広告出稿の背景
  • 広告を出稿するメディアと広告タイプ
  • 競合他社のバナーデザイン例
  • 広告で打ち出したいメッセージ
  • ぼんやりと考えているデザインイメージ
  • 広告出稿のゴールや目標

 

記事原稿依頼の場合

  • 記事を掲載するの背景
  • 記事掲載される場所
  • 他社の記事例
  • 記事でアピールいたいテーマやメッセージ
  • ぼんやりと考えている構成
  • 記事を公開することによるゴールや目標

 

こうしたことを依頼する側に対して細かく共有することが一番重要となります。上記の情報を共有するには、他社状況の調査などを実施することが必須となりますが、それを行うことで、自分自身も成果物のイメージも湧いてきます。

その湧いてきたイメージも一緒に依頼先に共有することで、持っている情報量と質をできるだけ同じレベルにしていくことができ、成果物にも齟齬が生まれにくい状況になります。

プロジェクトの大小関係なく、こうした共有して伝える技術が、そのままディレクション力と同意語になると考えます。

業務に使えるディレクション力とは、強力なリーダーシップや推進力ではなく、まずは、関係するスタッフと情報の共有による情報の量と質の同レベル化をすることで、そのディレクション力が成果物の精度アップにつながります。

もちろん、リーダーシップや推進力は必要とはなりますが、プロジェクトの内容を自分自身で整理して、それを共有していくことが先決になります。

 

まとめ

「ディレクション」とは、プロジェクトなどの業務に関する進行を管理して、アウトソース先を含む関連するスタッフを指揮・管理して業務を遂行する行為はすべてディレクション業務と言ってもいいでしょう。

それは、営業部、広報部、宣伝部、管理部、総務部など、どの部署でも発生する可能性のある業務なのです。

ディレクション業務は、一般的に部署でも多々発生する業務と言えるので、今後は、ディレクションと言いう業務を意識しながら、日々の業務に向き合っていくと、今までよりも、視野が広がっていくのではないでしょうか。

 

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